国際結婚 & ビザ

国際結婚のお相手が来日するためのビザには何がありますか?

国際結婚とビザ1:査証免除(短期の来日)

国際結婚をされる(された)お相手が、アメリカ、韓国などいわゆる査証(ビザ)免除国の方は、短期の滞在であれば査証(ビザ)なしで来日することができます。一方、配偶者として長期間の日本滞在を希望されている場合には、日本で在留資格認定証明書の交付を受けたうえで査証を取得することが必要です。中国、ベトナム、フィリピンなど査証免除国でない国のお相手の場合には、短期の来日でも査証を取得することが必要です。

国際結婚とビザ2:知人訪問ビザ・観光ビザ(短期ビザ)

国際結婚をされる(された)お相手が、査証免除国でない中国、ベトナム、フィリピンなどの国のご出身のお相手である場合、在外公館において査証(ビザ)の申請が必要です。短期の査証は、知人訪問や観光など目的によって必要書類が異なります。すでにご結婚が完了されている場合には「親族訪問」、まだご結婚が済んでいない婚約者の状況でしたら「知人訪問」、観光が目的の場合は「観光」を申請することとなります。

国際結婚とビザ3:配偶者ビザ・結婚ビザ(長期ビザ)

国際結婚をされる(された)お相手が、査証免除国の方であるかそうでないかに係らず、すべての方が日本で結婚生活を送るためには日本の在留資格「日本人の配偶者等」の取得が必要です。この在留資格認定証明書交付申請は、お二人の国で結婚手続きが完了していることが前提となります。

国際結婚とビザ4:婚約者ビザ・フィアンセビザ

国際結婚をされるお相手と婚約者の関係にあっても、法的に結婚をしていない限りは、配偶者ビザを申請することはできません。また、短期ビザの申請時もまだ「親族」ではありませんので「知人訪問」を申請することとなります。

国際結婚の手順をおしえてください。

国際結婚は、日本で先に結婚をする方法と、外国で先に結婚をする方法があります。日本の法律上は、どちらを先にしても構わないのですが、お相手の国の結婚法によっては、先に日本で結婚をするとお相手の国に結婚を届け出る方法がなくなるなど、将来お相手の国での結婚生活の可能性がある場合などは、お相手の国での結婚を先にしたほうが良い場合もあります。

日本で先に結婚をする場合

日本で先に結婚をされる場合には、日本人同士の結婚と同様に、日本の市区町村役場に結婚届を提出して行います。日本人同士の結婚の場合には、お互いが結婚ができる状況にあるのか戸籍を見れば判明しますが、外国人との結婚の場合、お相手が結婚できる状況にあるのか(従って婚姻届を受理してよいかどうか)日本の市区町村役場ではわかりません。このため、外国人の方がその母国で結婚ができる状況にあることを証明する書類である「婚姻要件具備証明書」を提出する必要があります。婚姻要件具備証明書を提出できる場合にはスムースに受理され、日本人同士の結婚とさして変わらないとの印象をもたれるでしょう。

婚姻要件具備証明書

やっかいなのは、婚姻要件具備証明書をお相手の母国で取得できない場合です。婚姻要件具備証明書という名前であるかどうかはともかく、証明されなければならないのは、お相手の母国の婚姻要件のすべてを満たしていることを証明してくれる書類です。よくあるケースは、お相手の母国では「独身証明書」しか発行してくれない場合です。一般的にどこの国であっても「独身であること」以外にも婚姻が認められるための要件はいくつもあることが通常です。従って、単なる独身証明書では、婚姻要件のうちの1つしか証明していないため「婚姻要件具備証明書」としては認められません。このような場合には、法務局へ受理照会がなされることが多いです。

日本での結婚手続きは、書類さえあれば日本人だけで行うことができます。

外国で先に結婚をする場合

外国でご結婚をされる場合には、外国の定めた手続きに則って婚姻を成立させる必要があるため、その方法は国によってバラバラです。結婚が許可制の国があったり、外国人との結婚が禁止されていたり、病院の健康診断書が必要であったり、面接があったり、日本人に宗教の改宗が必要であったりと本当に様々です。日本人側の婚姻要件具備証明書が必要な場合は法務局で取得することができます。また、戸籍謄本を提出することにより在外公館でも同様の書面を発行してもらえます。

外国での結婚が完了したらその国で発行される「結婚証明書」を日本の市区町村役場に提出して、日本側でも結婚手続きを行う必要があります。結婚証明書の名称も、REPORT OF MARRIAGE,

CERTIFICATE OF MARRIAGE、結婚公証書、戸籍など様々です。

外国での結婚手続きは、日本人もお相手の国に行かなければ結婚できないことも多いです。

ビザ(査証)とは何ですか?

日本の在外公館(大使館・領事館といった外務省の出先機関)が発給する日本への渡航の推薦状です。この推薦状である査証がパスポート(旅券)に貼付されていないと、日本の空港や開港で上陸することができません。つまり、外国人が日本に上陸するために必要なもののひとつがビザ(査証)です。ただし、この推薦状があれば必ず日本への入国が保証されるものではなく、最終的な入国の許否の判断は日本の空港・開港において入国審査官により行われます。

在留資格とは何ですか?

日本に滞在している外国人は、米国軍人など一部の例外を除き、旅行者を含めすべて日本の「在留資格」を保有しています。在留資格には種類があり、大きく分けると、短期滞在、身分系の在留資格、就労系の在留資格に分けられます。日本人の配偶者の方は一般的には、在留資格「日本人の配偶者等」を取得して日本で結婚生活を送ることとなります。在留資格は、在外公館ではなく日本の法務省入国管理局が担当し許否の判断をしています。

在留資格「日本人の配偶者等」の取得方法

海外にいる配偶者を呼びよせる場合:在留資格認定証明書交付申請

国際結婚をしたお相手の配偶者が海外にいらっしゃり日本に呼びよせる場合には、日本の入国管理局に在留資格認定証明書交付申請を行います。審査には東京入国管理局の場合、1か月半から2か月程度かかっています。審査で許可がおりると、在留資格認定証明書が交付されます。成田空港、羽田空港など大きな空港に到着される場合には、空港で在留カードが発行されます。

日本に中長期的に滞在されている方の場合:在留資格変更許可申請

国際結婚をしたお相手の配偶者がすでに就労系の在留資格や留学など他の在留資格をお持ちの場合は、これを在留資格「日本人の配偶者等」に変更する申請を入国管理局に対して行います。審査には東京入国管理局の場合、1か月半から2か月程度かかっています。審査で許可がおりると、在留資格認定証明書が交付されるのではなく、新しい在留カードが発行されます。

日本に短期に滞在されている方の場合:「やむをえない特別の事情」が必要です

国際結婚をしたお相手の配偶者が短期滞在の在留資格で滞在中の場合は、法律上「やむをえない特別の事情」がない限り、在留資格「日本人の配偶者等」への在留資格変更許可申請は許可されません。ハードルが高くなりますので、ビザ専門の行政書士にご相談・ご依頼をされるべき事案となります。

■この記事を書いた人

行政書士 佐久間毅(さくま・たけし)

東京都出身。慶應義塾志木高等学校慶應義塾大学法学部卒。高校在学中に米国コロラド州のイートンでホームステイ。大学在学中は、他大学である上智大学の国際法の権威、故・山本草二教授の授業に通い詰める。大学卒業後は民間の金融機関で8年間を過ごし、現在は東京・六本木でビザ専門のアルファサポート・行政書士事務所を開業。専門は入管法、国籍法。執筆サイト:配偶者ビザ